長岡造形大学  情報リテラシー論 は毎週火曜日4限。
講師は イーンスパイア株式会社 代表取締役 横田さんです。
横田さんのサイトにはこちらから。


情報リテラシー論10日目。
今回は【苦戦する紙媒体と電子書籍】です。


今回は最初に「書籍離れ」のテレビ映像をみました。その映像によると、本を読まない人、違う言い方をすれば「読書ゼロ」の人は日本人の二人に一人になってしまったそうです。また、一ヶ月に一冊も本を読まない人はおよそ47%だそうです。 今の状況を把握していないので変化があったのかはよくわかりませんが、私が小学生の頃なんかは図書館で本を借りている子もたくさんいた気がします。
映像では「本を読まなくなったのは自然な流れ」という話も出ていました。今日ではインターネットの普及により、インターネットの膨大な情報・知識に簡単にアクセスすることができるようになりました。そういう流れからしてみればやはり、本を読まなくなったことも自然なのかもしれません。
さらに、「本の持つ社会的機能が変わった」との話もありました。インターネットが出てきたため、本にしかできない、備わっていない機能を見つけていかなければいけなかったのかもしれません。

「本を読むことで論理的な思考能力上がる」とも言われるそうですが、近年大学での図書館の貸し出し数が減っているそうです。これにもスマホの普及が関係していると考えられるようです。その理由としては、「インターネットで調べたほうが早い」「情報量が多い」などがあるようです。
このような問題に対して、図書館では本に関心を持ってもらえるような取り組みを行ったりしたそうですが効果はなかったようです。これは情報入手や読書の意味自体が変わってきていることを表していると捉えることができます。

本を読む人と読まない人の違いを確認する実験のようなものを行ってもいました。「英語の早期教育は必要か否か。」という題で小論文を書くというもの。読書時間が0の人からすごく読んでいる人など様々な人を対象にしていました。情報を調べる方法もほとんどの人がインターネットで検索している中、本で調べている人がいて興味深く思いました。
インターネットに比べると本は検索ワード以外の情報も得られるというメリットがあるというもの。自分が予想し得なかった情報まで得ることができます。
インターネットでは見出しを見て判断します。そしてインターネットの利用者は自分の意見は最後の少し程で最初のテーマからはずれ、内容も深まっていないものが出来上がってくるそうです。理由としてインターネットの膨大な情報に振り回されてしまっているからだと考えることができるそうです。検索してすぐに出てくる情報だけではやはりダメなのだそうです。

読書が脳に与える影響についても学びました。「読書という営みの意味は情報を得るためではなく、自分からどのくらい引き出せるかにある。」ということでした。
テレビは情報が次々入ってくるから脳は情報を受けるだけ。しかし、読書はある文章から得た意味を理解し、景色や人物像などを想像するため過去の出来事を思い出すなどのプロセスが生じる、と。人間の持つ創造的な力が使われるんだそうです。
具体的に説明すると、テレビは映像や音声など、次々と止まることなく情報が流れ続け、我々はそれを受け取るだけです。しかし、本を読む、読書をするという行為は文章を読むペースはその人が決めることができ、想像する時間が十分に用意されるのです。過去に自分がしてきた経験からその文章から感じられる情景を思い出し、自分で映像を組み立てるのです。「雪が降っている」と書いてあるだけでもその景色を想像できますよね。私はここで思い浮かべる景色が万人共通でないのがとても面白いことだなあと思います。


ここで少し話を挟みますが、本とネットで対立させて話す事例は多く見られると思いますが、その対立のさせ方は果たして正しいものだといえるものでしょうか。例えば「本のページをめくるワクワク感はネットにはない」などと語られることがありますが、それは「紙の本」の話に限定されています。今では「電子書籍」というものもあります。ただ、「本は持ち運ぶのには重すぎる」「ネットの方が情報量が多く、検索すれば探すのも早い」などと言いますが、電子情報化された本ではそれらは取り除けない問題なのでしょうか。小論文などのテーマで出題された時に瞬間的に「本は紙」と括るのは危険かもしれませんね。


さて、講義の内容に入っていきます。


最近若者は新聞離れはしているといわれていますが、その実文字離れはしていないんです。
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新聞を読まずとも、ネットでYahoo!ニュースなどが読めますし、当然のことに文字は読んでいることになります。その上、SNSでの情報の発信までしているため、文字を書くことさえしているのです。


先にもインターネットでニュースをみるという話がありましたが、その影響が出てきているところもあります。
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新聞が厳しくなっていることは事実だということですね。


そして新聞の発行部数が減少しているとともに他にも悲しい事実が・・・。
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新聞社はネットの時代にのっかるべく、web版にも力を入れているそうです。しかし悲しいかな、web版も本当は有料にすべきところなのですが、インターネットのニュースは無料で見れるものとの理解がされているためなかなか実行できないのだとか。

 
新聞の発行部数が少なくなっていると書きましたが世界と日本との違いをここでもみることができます。実は新聞をこんなに読んでいるのは日本だけなのだそうです。
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日本では新聞の購読者が多いという理由で海外に比べると新聞社が情報をコントロールしやすいんだそうです。操作されているなんて気分が悪いですし、情報に惑わされることはないようにしたいですね。

新聞の勧誘ってありますよね。勧誘しても入ってくれないなんてのはよくあることかと思います。昔は学生のところでは加入してくれたら粗品や初めにお得なプランを用意するなんてこともあったそうですが、今では現金を手渡しするほどに。それほどに新聞の業界は厳しくなっているということみたいです。

新聞社とテレビ局はほぼ同じようなかんじで厳しくなっているそうですね。けれどテレビは無料で配信、新聞は有料ですね。これがおかしいことなのかどうか。私達にとっては当たり前のことですから違和感はなかったと思いますが。 


新聞ですが、昔のものを探したりする時に便利なものがあるようです。
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指定した日付で昔の新聞が印刷できるサービスだそうです。これは自販機で誰でも買えるそうです。友達の誕生日などにも使えるかも?みたいな話もありました。


さて、スウェーデンにも面白い自販機があるそうです。
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この自販機はいわば本を買える自販機です。データを読み込んでその場でプリントアウトして製本してくれる、というものです。紙の本が欲しいけど近くの本屋には置いてない時などに使えます。これはデジタルとアナログの組み合わせと言えます。デジタルのデータを読み込み、それがアナログのものになってでてくる。こうすれば余計なスペースもいらず、とても便利だと思います。しかしその場で製本できると言っても印刷のクオリティは本物とは違うそうですが、読めればいいという人にとってはいいものですよね。
新聞もこれでいいんじゃないの?という話もでました。新聞はすべての記事を読むという人も少ないと思いますし、自分が見たい紙面、例えばスポーツ欄、ニュース欄だけを自販機で買えた方がよいのでは?ということです。その方が余分な紙もでませんし、ゴミも少なくて済みます。しかし、そのデメリットとして受け取る情報が偏ってしまうということが挙げられます。自分で選んで得るものは初めから自分が知り得ているものですからね。 



電子書籍が登場する前のサービスですが、雑誌に掲載されたワードを検索できるというもの。
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「プリン」と打つと特集があるものがでてきたりというもの。読みたかったら購入してね、みたいなサービスだそうです。これだと本屋に行って品定めしなくてもいいので楽に済みますね。
記事の内容だけでなく、広告や表紙についてもチェックできるということ。
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中吊り広告などでは各社の話題の情報などがでていることが多いので世の中のことがおおまかに確認できたりもするそうです。


さて、雑誌についてですが、少子化の波によってもダメージを受けてしまっているそうです。
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小学○○年生はもう1、2年生までになってしまっているそうです。さて、ではなんで1、2年生はセーフなのでしょうか。その理由の一つとして対象の年齢層がスマホを持っていないもしくは操作をしないことが考えられます。まあ、決して雑誌離れや少子化だけの影響ではないのでしょうね。
雑誌の発行部数が調べられるサイトもあるそうです。少年誌では圧倒的に少年ジャンプが、女性誌ではViViなどがすごいそうです。それでも発行部数は減ってきているそうですね。
それでも、発行部数が伸びている雑誌もあるそうです。まだまだ生き残れる可能性はあるということですね、頑張って欲しいです。
伸びているものと減っているものの落ち着く場所が20万部だそうで。美容室には大体女性誌が置いてあると思いますが、その数が大体40万店舗なんだそう。そのうちの半分の店が置いてくれれば大体20万部になります。そのような仕組みなんだそう。
 

そんな今厳しくなってきている雑誌も昔はCMがやれるくらいのお金があったそうです。
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時代は常に変化しているということでしょうかね・・・。


そんな時代の変化が少年誌で圧倒的な勢力を誇る少年ジャンプにも影響を与えたみたいです。
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そうです、ジャンプもweb化しました。紙の本と同じ値段で買うことができ、お店に行かなくてもすぐに買うことができます。今では大分改善されていますが地方では配達の時間のために発売日からずれて販売されてしまうことも度々ありました。こうした電子上でならそういった地域の格差なく、電波さえあればリアルタイムで買うことができます。
ジャンプのこの取り組みに他の書籍も次々と続き、電子化してきているそうです。

 
ドコモもこういった電子化の波に乗ってきているようです。
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dマガジンというサービスによってそれがなされています。月額400円という1つの雑誌を買うくらいの価格で沢山の雑誌が読めるようになっているそうです。「そんなんしたら紙媒体なんて買わなくていいじゃん〜」ということですね。内容が薄いもの、じっくり読まなくてもいいものは電子でいいよね。しかしじっくり読みたかったり、こだわりを持っていたりする人はやっぱり本を買うんだと思います。

しかしこのような電子雑誌の進出によって紙媒体をやめるところも出てきているそうです。それでも、やめると「紙がいい!」って声が届き、少数でも商売になるようならば・・・ということで復活することもあるんだそうです。
やっぱりなくなってみて初めてありがたみがわかるということでしょうか。テレビも一回やめてみて、ありがたみを感じてもらうのもいいのでは?なんて話もでました。


女性誌も色々な層に向けてターゲティングされているそうですね。
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今では読み取りの技術も上がっていて、画像ファイルさえもテキスト化できる時代になっているのです。
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テキスト化した文字は検索対象にすることができます。テキストのコピー・ペーストもできるようになるのです。とても便利ですよね。作者名や作品名などが検索ワードとして反映され、検索で探せるようになっています。



BOOKScanというサービスがあるようです。このサービス、電子書籍登場の一端を担ったのかもしれないということです。
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電子書籍がまだまだ普及前、「本は重いから本を自分でスキャンしてデジタルデータにする。」なんていう人もいたかと思います。ですがこの工程、自分でやると結構面倒くさいものです。これを代行するサービスが、この「BOOKSCAN」になります。でもこれ著作権的に大丈夫なのってことで散々裁判になったりしたそうです。現在では出版社などに確認がとれているものだけが対象になっているそうです。ここで注目すべきなのはデータは1度とればそれ以降は複製が可能だということ。過去に同じ本のスキャンをすればもうその本のデータは持っているわけなので本をバラバラにするなどの労力なしでお金を稼ぐことができるのです。本当にそういう風にしているのかはしれませんがずる賢いというか、なんというか・・・。
この会社、もともとは古本回収の会社だったそうで。つまりはぐるぐる街中を回って古本を回収していたんだと思います。しかしこのサービスを始めたことで、お客さんが送料を払って勝手に本を送ってきてくれる仕組みが出来上がっているのです。


つい最近、本をバラバラにしなくても綺麗にスキャンしてくれる機械も出たそうです。
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そして似たようなことがiPhoneでもできるんだそうです。
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Googleが著作権が切れたものや、出版社に了解を得たものなどをデジタル化して検索対象になってもいるそうです。
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日本では電子書籍流行ってないんだそう・・・。
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紙媒体も売れなくなってきてはいますが、決して電子書籍の購入者が増えているわけでもないとのこと。
この要因として考えられるのはSNSなんだとか。



さて、なぜ電子書籍が流行らないのでしょうか。その要因の一つとして紙から電子に媒体が変わっているのに中身が変わっていないということが挙げられます。
そこを考えてのことかはわかりませんが、スマホでの読みやすさなどが考慮されているようなものがでています。 
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LINEの関連会社がやっている漫画アプリでcomicoというものがあります。電子書籍では本をめくるような横スクロールが多い中で、スマホで読みやすいようにこのアプリは縦スクロールになっているとのこと。電子書籍もこのアプリのようにスマホに合わせたフォーマットを作るべきなのだと思います。


ストリエというLINE風縦スクロールの漫画も出てきているようです。
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誰でもこのフォーマットで漫画(小説?)がかけるんだそうです。
一時期話題になった携帯小説は携帯電話で書かれていたため、その端末で読みやすいようになっていました。だからスマホで読みやすいようなスマホ独自の書きかたを模索するべきなのかもしれません。


さて、ネットの時代になったことで、誰もが簡単に情報を発信できるようになりました。つまり、作品も簡単に発表できるようになりました。しかし、紙媒体であっても今では自費出版が可能な域にまでなりました。
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昔は自費出版するとなるとかなりのお金がかかったそうです。ですが今では比較的安く製本できるそうです。

 
印刷するのにもプリンターがなくてもコンビニで印刷も簡単にできるようになったそうです。
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プリンターといえば3Dプリンターが今すごいんだそうで。
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3Dプリンターが普及して、印刷物も形が変わる日がくるかもしれませんね。


雑誌の発行部数が減っていると書きましたが、書店の数も減ってきてしまっているようです。
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それにしても半分以下にまで減ってしまっているなんて凄まじいです。本を売るところまでなくなってしまっては元も子もありませんよね。
 
それでは、そんな本屋が生き残る術は果たしてけ残されているのでしょうか? 
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魅力を感じる書店の上位5位をみるとそのヒントが隠されているように感じます。

さて、ここで出てくるのは注文が殺到するという地方の書店。なぜ地方の書店がそんなにも人気になるのでしょうか。
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その理由は店主が本を選んでくれるサービスがあるためなんだとか。やはりいつだかの講義でやったように、今はキュレーションの時代みたいです。


さて、他にも色々な方法で生き残る道を探しているようです。
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やはり、今までにはないこと、新しいことを恐れずに取り組んでいくことも大切なことなのだと感じます。



紙の本を買うことで電子書籍版も無料で読めるようになるというサービスもあるようです。
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どちらでも読めると色々な場合に役に立ちますよね。それになんだか得した気分になれます。
こんな風に紙のものも電子のものも仲良くすることで見える道もあるのではないかと思います。というか、内容は同じなのだろうし、セットにしちゃえばいいのにと思います。そうすれば電子か紙かを選ぶことなく、紙の書籍も売ることができると思いますし。

これと同じような仕組みをTVでも作って、TVの料金を払えばネットでも見れちゃうみたいな仕組みを作ればいいのでは、という話も出ていたと思います。


このように紙媒体からネットメディアへ誘導する手段はあるのです。例えば次のスライドの「QRコード」と「AR」。
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それではこの2つを比べつつ見ていこうと思います。
 「QRコード」はどこも同じ様式で対応ができます。つまり誰でも1つ読み込めるアプリを入れておけば大丈夫だということです。しかし見た目が微妙ですよね。
次は「AR」。 これだといいデザインはできますが、各々の会社で形式が違うのでそれぞれのアプリをダウンロードしなければいけないという高い壁があります。新しくアプリを入れてまで・・・って考えてしまいますよね。


そこで作り出されたのがこの「クローク・コード」です。
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これは一見すると何もないように見えるものにスマホをかざすとQRコードが表示されるというもの。つまり、ARとQRコードの間みたいな感じです。このクローク・コードの問題点は大きく上げて2つあります。1つ目は、QRコードが書いてないのにどうやってスマホをかざしてもらうのか、ということ。共通の理解ができていなければ「読み取ってください」との表記をしなければなりません。しかしそう書いてしまっては元も子もありませんよね。2つ目は、透明なQRコードの印刷は特殊であり、普通のプリンターでは印刷できないこいうことです。特殊な印刷を施さなければいけないということは印刷所も限られ、コストもかかってしまうということです。以上2つの点からこのクローク・コードはアイディアは面白いけれど実用は難しいとのことです。




電子のものも紙の媒体もそれぞれのいいところを伸ばし、工夫していってほしいと思いました。